
るFRP配線の処理は、個人所有のFRP製プレジャーボートと事業活動に伴うFRP漁船等業務用船とでは、廃棄物になった場合、委託処理するにあたりそれぞれ一般廃棄物の許可と産業廃棄物の許可の両方が必要になることになる。しかし、このような両方の許可の取得が現実には極めて困難なことが効率的な処理体制の構築、リサイクル技術開発を困難にしていると言える。 一般廃棄物と産業廃棄物を一元的に処理することが減容とリサイクルの効率化を図る上ではどうしても必要であり、廃棄物処理政策上も最もよい施策と考えられることから、早期に法の改正を含む運用の弾力化の推進を提案していく必要があると考える。 おわりに
破砕、埋立て以外の方法で廃棄物として適正に処理した実績がほとんどなく、修理再生の他はリサイクルの面でも遅れているFRP廃船は、それだけに難しい問題を数多く抱えており、かつ、関係者間で立場の著しく相違するFRP廃船の処理体制を取上げたこの調査研究は、委員会おいてもシステム構築の過程でしばしば激論が交わされたが、その結果二通りのシステムを構築することでようやく結論を得るに至った。 将来体制である体制?Uは法令の整備からデポジット制の実施、漁船や非船舶FRP製品の処理ルートとのドッキングなど、理想ではあるが簡単には実現し難い要素が多く含まれており、実現には数年又は十数年の歳月が必要になると思われるが、わが国の廃船処理政策の流れを考えると時間は掛かっても今から準備し、是非とも実現しなくてはならないシステムである。 一方、現行法下での処理システムとして提案した体制?Tは、今すぐにでも実行してほしいシステムであるが、廃棄物処理業の環境の整備、処理費用の引下げ方策、排出者不明船処理における処理資金負担等の問題で、自動車業界や家電製品業界とは規模的に全く異なる舟艇業界が市町村の協力申し入れをそのまま受け入れることができるか否かの問題も大きく、実現には当事者間におけるかなり突っ込んだ詰めを今後は真剣に行っていく必要があるであろう。 今日では、廃棄物処理の問題は、前述のように地域社会の問題から地球の環境保全という意味合からグローバルな問題として議論されつつあり、ヨーロッパ連合(EU)を始め欧米先進各国では包装容器を先頭に数量の多い、又は処理困難な廃棄物の処理責任を排出者や自治体以外にも求め、デポジットや緑のマークなどの制度を導入することによって廃棄物のリサイクル体制の進展を促し、問題の解決を図ろうとする動きが顕著となってきた。 FRP製プレジャーボートの廃船処理に係るこの処理体制の両提案は、将来体制として提案した後者はもとより、現行法体系下でのシステムである前者にあっても、この様な地球的な環境の保全を目標に、FRP廃船を取り巻く当事者、関係者がそれぞれの立場において、それぞれの責任を全うしなければならないという考えのもとに実現され、運用されなければならないものであると考える。 おわりに、このFRP廃船処理体制に関する提案が、当事者の理解と協力を得て早い機会に実現することを強く望むものである。
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